【げんきなマドレーヌ】作者の愛情があふれるパリの小さな女の子

どこかなつかしく、心をあたたかくする絵本「げんきなマドレーヌ」。

この愛らしい絵本のページをめくるたびに、子どもたちだけでなく大人の心も優しく包み込まれます。このパリの小さな女の子の物語を世に送り出したのは、いったいだれなのでしょうか？

メラノの地で生まれ、運命に導かれるようにアメリカへと旅立った一人の画家兼作家。彼の名前はルドウィッヒ・ベーメルマンス。彼の生み出したマドレーヌの世界は、細やかな水彩画と軽やかな言葉選びで、私たちの心に穏やかな喜びをもたらしてくれます。

この記事を通じて、そんなベーメルマンスの人生と、彼がどのようにして「げんきなマドレーヌ」を生み出したのか、その背後にある愛と情熱の物語を優しく紐解いていきます。どうぞ、この機会にマドレーヌと彼女を生み出した作者の物語に、心を寄せてみませんか？

「げんきなマドレーヌ」の作者はだれ？どんな人？

作者はルドウィッヒ・ベーメルマンス

ルドウィッヒ・ベーメルマンス（1898年4月27日 – 1962年10月1日）は、オーストリア＝ハンガリー帝国のメラノで生まれたアメリカの作家、画家です。彼は特に「マドレーヌ」シリーズで知られており、これはパリを舞台にした小さなフランス人女の子の冒険を描いた絵本で、子どもたちに広く愛されています。

ベーメルマンスは、気性の激しさから故郷で騒動を起こし、16歳でアメリカ合衆国に移住しました。その後、彼はホテル業で働きながら美術と執筆への情熱を独学で育みました。彼の作品はやがて「バニティ・フェア」や「タウン・アンド・カントリー」などの雑誌で発表されるようになりました。彼の最も有名な作品、原書が1939年に出版された「げんきなマドレーヌ」は、子供たちだけでなく、大人たちからも愛されるクラシックとなり、シリーズ化されました。

ベーメルマンスの作風は、彼の鮮やかな水彩画とシンプルでリズミカルな文章に特徴付けられます。彼の絵本は、子どもたちに勇気と冒険心を与えると同時に、フランス文化やパリの美しい風景を紹介しています。また、彼は子どもたちの心の内を洞察力豊かに描き出し、彼らの想像力を刺激する物語を創り出しています。

ベーメルマンスの作品は、その独特な魅力と普遍的なテーマで、国際的な評価を受けています。彼の本は数多くの言語に翻訳され、世界中の子供たちに読み継がれています。彼は子ども向け文学において重要な地位を占めると同時に、美術の分野でも高く評価されており、彼の原画は今日でも多くの美術館やギャラリーで展示されています。

ベーメルマンスの最大の達成は、世代を超えて愛され続ける彼の作品を通じて、子供たちの心に不朽の足跡を残したことです。彼の物語は時間を超えた魅力を持ち、今日でも多くの人々に愛され続けています。

絵本の紹介

「げんきなマドレーヌ」は、ルドウィッヒ・ベーメルマンスによる世界的に有名な絵本シリーズの第一作で、パリを舞台にした心温まる物語です。

パリの寄宿舎に住む12人の女の子たちの中で、一番小さくて一番元気なマドレーヌの冒険を描いています。主人公マドレーヌは、勇敢で好奇心旺盛な少女。繰り広げられる冒険は、子どもたちに夢と勇気を与えます。

この絵本では、パリの風景や建物を美しく描いた挿絵と、リズミカルでユーモラスな文章が魅力です。そして、子どもたちの生き生きとした表情や仲良しの様子にも注目です。

マドレーヌの元気で明るいキャラクターは、読んだ人に勇気と笑顔を与えてくれます。

基本情報

書名	げんきなマドレーヌ
出版社	福音館書店
発刊日	1972年11月10日
作	ルドウィッヒ・ベーメルマンス
絵	ルドウィッヒ・ベーメルマンス
訳	瀬田貞二
対象年齢	4歳から

あらすじ

「元気なマドレーヌ」とは、パリにあるある寄宿学校で共に生活する12人の女の子たちの物語です。

中でも最も小さなマドレーヌは、彼女たちの中で最も活発で勇敢な子です。

彼女たちの生活は、ミス・クラベルという厳しくも心優しい先生の下で、とても規律正しいものでした。

しかし、ある夜、マドレーヌが突然泣き始めます。

これは大変なことで、ミス・クラベルはただちにコーン医師を呼び、彼が診察したところ、マドレーヌが盲腸であることが判明し、急いで病院に運ばれました。

幸い、マドレーヌの手術は成功し、彼女は目を覚ました時にはすべてが終わっていました。

10日後、ミス・クラベルと他の11人の女の子たちが、病室で溢れんばかりのお花やお菓子、おもちゃで飾られた夢のような空間でマドレーヌを見舞いにきます。

特に注目を集めたのは、マドレーヌが誇らしげに見せた盲腸の手術痕でした。

その夜、今度は他の11人の女の子たちが大声で泣き出しました。

「どうしたの！？なにごとですか？」とミス・クラベルが尋ねると、

「え～ん、え～ん、もうちょうをきってくださいよ～」と彼女たちはマドレーヌに羨望の涙を流していたのです。

「おやすみ、みなさん、げんきでなにより。では、ぐっすり、ねむってくださいな」とミス・クラベルが言いながら、部屋の電気を消し、扉を静かに閉めました。

登場人物

メインキャラクターの紹介

マドレーヌ

マドレーヌは、小さな体に勇気と好奇心を詰め込んだ少女です。ルドウィグ・ベーメルマンスの絵本「げんきなマドレーヌ」の中で、彼女はパリのボードイングスクールで生活する12人の女の子の一人として描かれています。

マドレーヌの特徴は、その無邪気さと大胆さにあります。彼女はどんな挑戦にも恐れずに立ち向かい、病気や困難に直面しても決してくじけません。彼女の行動は、周囲の人々に勇気を与え、友情と愛情の重要性を教えます。

マドレーヌの愛らしさは、彼女の明るい性格と、どんな状況でも保つポジティブな態度から来ています。子どもたちだけでなく、大人も魅了されるマドレーヌの物語は、世代を超えて愛され続けています。

サブキャラクターの紹介

ミス・クラベル

ミス・クラベルは、「げんきなマドレーヌ」シリーズに登場する、マドレーヌと他の女の子たちが暮らすボードイングスクールの優しい看護師兼先生です。

彼女は、女の子たちが安全で幸せに過ごせるよう常に気を配り、心からの愛とケアを提供します。夜中にマドレーヌが急に病気になった時も、ミス・クラベルはすぐに気付き、彼女を病院へ連れて行くなど、責任感が強く、いつも女の子たちの健康と幸福を最優先に考えています。

彼女の温かさと慈悲深さは、シリーズ全体を通じて女の子たちに安心感を与える重要な存在です。ミス・クラベルは、子どもたちに対する無限の愛と理解を持つ、理想的な保護者の象徴と言えるでしょう。

11人の女の子たち

マドレーヌのクラスメートである11人の女の子たちは、それぞれがユニークな個性と愛くるしさを持っています。彼女たちはパリのボードイングスクールで共に生活し、日々の冒険を共有しています。これらの女の子たちは、マドレーヌの物語を通じて、友情、協力、そしてお互いを思いやる心を象徴しています。

彼女たちは、マドレーヌと同じ制服を着て、整然とした列をなして歩く姿が印象的です。各々が個性的でありながらも、団結して行動することで、彼女たちの間の強い絆を感じさせます。一人一人が独自の魅力を持っており、その中には恥ずかしがり屋や活発な子、思慮深い子など、様々な性格が描かれています。

彼女たちの物語は、小さなことから大きな冒険まで、日常のさまざまな出来事を通じて展開されます。お互いの違いを尊重し合いながら、それぞれの強みを活かして問題を解決する様子は、読者にとっても魅力的です。彼女たちの愛くるしい笑顔、時にはお茶目な行動は、絵本を通じて子どもたちに喜びと勇気を与えています。

マドレーヌと11人のクラスメートたちは、単なるキャラクターではなく、友情の大切さ、一緒にいることの楽しさ、そして互いに支え合う価値を伝える、物語の心温まる中核を形成しています。

読者レビュー

げんきな小さな女の子マドレーヌにこめた作者の思い

見どころ

「げんきなマドレーヌ」は、作者ルドウィッヒ・ベーメルマンスが心を込めて描いた作品です。

元気と勇気

物語の中心にいるマドレーヌは、小さな体に不思議なほどの元気な女の子。彼女の恐れ知らずの性格は、どんな困難にも立ち向かう力を子どもたちに伝えます。マドレーヌとその友達が経験する日常の冒険は、友情、そして新しい発見の大切さを教えてくれるでしょう。

さらに、マドレーヌの物語は、失敗を恐れずにチャレンジする大切さを伝えることで、子どもたちの自己肯定感を高めます。マドレーヌが直面する様々な挑戦は、読者に自分の限界を超えてみる勇気を与えるでしょう。

多様性と包容

また、この絵本は、多様性と包容力のメッセージを伝えます。異なる背景を持つ12人の女の子たちが一緒に生活し、学び、遊ぶ様子は、相互理解と協力の精神を育みます。子どもたちにとって、これらの経験は共感と寛容の価値を身につける貴重な機会となります。

パリの街並みと文化

さらに、この絵本の見どころは、その鮮やかなイラストレーションにあります。パリの街並み、美しいセーヌ川、そして歴史ある建造物が、子どもたちの想像力をかき立てます。マドレーヌの冒険は、読者を魅力的なフランス文化の旅へと誘います。

パリの名所や建物、街並み、料理などが美しく描かれており、パリの雰囲気を味わうことができます。例えば、エッフェル塔やノートルダム寺院、コンコルド広場などが登場します。また、パンやチーズ、ワインなどのフランス料理や、マドレーヌというお菓子も紹介されています。

リズミカルでユーモラスな翻訳

この絵本は、リズミカルでユーモラスな文章で書かれています。瀬田貞二さんの翻訳が素晴らしく、日本語の響きやリズムを楽しむことができます。

例えば、「２れつになって、パンをたべ、２れつになって、はをみがき、２れつになって、やすみました」「いいことみれば、にこにこがお、わるいことには、しかめっつら・・・」などのフレーズは、声に出して読みたくなります。また、マドレーヌや他の女の子たちの表情や仕草、ミス・クラベル先生の反応などもユーモアたっぷりに描かれており、笑いを誘います。

「げんきな小さな女の子マドレーヌ」は、ただの絵本を超えた作品です。作者の深い思いやりと愛情が込められたこの物語は、読む人すべてに勇気と希望のメッセージを届けます。子どもたちだけでなく、大人も一緒に楽しめる普遍的なテーマが詰まっており、家族で共有するには最適な一冊です。

絵本の魅力をさらに深く

翻訳者 瀬田貞二さんについて

瀬田貞二さんは、日本の翻訳界における重鎮であり、特に児童文学の翻訳において顕著な業績を残しています。彼の翻訳した作品は、日本の子どもたちにとって外国文学の魅力を身近なものにしてきました。瀬田さんは、英語圏の児童文学を中心に数多くの作品を日本語に翻訳し、その精緻な言語感覚と作品への深い理解で知られています。

瀬田さんの翻訳の特長は、原作の雰囲気を忠実に再現しつつ、日本の子どもたちにも理解しやすい言葉で表現することにあります。彼は、単に言葉を置き換えるのではなく、作品が持つ文化的背景や感情を繊細に捉え、それを日本語の文脈で巧みに表現する技術を持っています。このため、瀬田さんの翻訳作品は、読者にとって原作の魅力をそのままに、日本の文化的感覚にも馴染む作品となっています。

「げんきなマドレーヌ」の翻訳においても、瀬田さんはこの特長を発揮しています。彼は、マドレーヌの冒険心溢れる物語を、日本の子どもたちが共感しやすい形で伝えることに成功しました。瀬田さんの翻訳は、原作の持つユーモアと温かみを損なうことなく、日本語で表現することで、作品の普遍的な魅力をさらに引き出しています。

瀬田貞二さんの翻訳は、児童文学を通じて異文化理解の架け橋となると同時に、言葉の美しさを伝えることにも貢献しています。彼の仕事は、翻訳者としての卓越した技術だけでなく、子どもたちの想像力を育むことへの深い愛情と責任感から生まれています。そのため、瀬田さんの翻訳作品は、多くの読者に愛され、日本の児童文学界における彼の地位を不動のものとしています。

よくある質問

「げんきなマドレーヌ　作者」のまとめ

今回の記事のまとめは、以下のとおりです。

✅ 「げんきなマドレーヌ」の作者はルドウィッヒ・ベーメルマンス
✅ ベーメルマンスはオーストリア＝ハンガリー帝国メラノ出身のアメリカの作家、画家
✅ マドレーヌシリーズはパリを舞台にした小さなフランス人女の子の冒険を描く
✅ ベーメルマンスはホテル業を経てアメリカに移住
✅ 独学で美術と執筆の技術を磨いた
✅ 「げんきなマドレーヌ」は1939年に原書が出版
✅ 作品は鮮やかな水彩画とシンプルなリズミカルな文章で知られる
✅ 子どもたちに勇気と冒険心を与え、フランス文化を紹介
✅ ベーメルマンスの作品は国際的に評価され、多くの言語に翻訳
✅ 美術分野でも高く評価され、原画は多くの美術館で展示
✅ ベーメルマンスは生涯多くの賞を受賞
✅ 1954年、「マドレーヌといぬ」でコールデコット賞を受賞した

ルドウィッヒ・ベーメルマンスと彼の創り出した「げんきなマドレーヌ」は、時間を超えて多くの心をつなぎ、世代を越えて愛され続けています。この記事を通じて、マドレーヌの背後にある豊かな物語と、その生みの親の深い愛情を少しでも感じ取っていただけたなら幸いです。ベーメルマンスの遺した不朽の作品が、これからも読者の心に温かな光を灯し続けますように。